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私は私の見た目でしか真実を語れない

世の中には、「正しい」と思うことはたくさんあるだろう。
たとえば、どんなことがあっても
「人を殺す」ことは絶対にあってはならないし、
どう考えたって、不条理だ。

けれど、法の下では。
たとえば、交通事故で人をひき殺しても、
「業務上過失致死」になったりして、
量刑が「殺人」より軽い場合がある。
この前の千葉の4人を「酒気帯び」からひき殺したことが
認められれば、きっとこれが適用されるんだろう。

同じ「人の命」が失われているのに。
法の下では、違うんだ。

たとえば、国家は。
先日イラクで一人の青年の命が失われたように。
国家の利益のためには(という前提の下に)、
それが正しいのかどうかは本当にわからないけれど、
人の命を差し出すようなことをしてしまう。

「正義」を立証するために、人は戦争までしてしまう。
人の命が失われるのに。
幼い子供の命が失われたら、「かわいそう」で、
「戦士」の命が失われたら、それはなんでもないんだろうか?

私にはわからないことだらけだ。
いくら「愛」を説いてみても、私自身が「愛」なんて
どこかに吹き飛んだような気持ちになるときがある。
たとえば、自分が被害者だったときは。
けれど、時が過ぎ行けばそれもいつしか、風化されて
事件の当事者だったことすら、忘れてしまうことがある。
そして、私は「当事者じゃないから」
本当に「被害者の気持ち」はわからないといってしまうこともある。

宅間容疑者は、自分が望むように、自分の命を散らせていった。
けれど、それで被害者のご家族の気持ちはいえたんだろうか。
私にはわからない。
人の命の重さを、それを奪った人の命で償い、
癒されることがあるとは思えない。
けれど、そうやってしか、気持ちを向けきれず、
立ってられない。
よくわかる。
私もそうだったから。
けれど、遠かった。
どうしてこのぐるぐるした輪に、私はいるのだろう。
苦しみを与えるほうも、与えられたほうも、同じ輪の中に。

時々、どうして「人」というものが生み出されたのかなと思う。
それもよくわからない。
私の知ってる、感じていることは、おそらく何かの断片に
過ぎないのだろうと思う。
私の見ている世界の「真実」は、どこか遠くでは、
異なっていて、そんな世界はありえないのかもしれない。

「加害者」を見るたびに、どうしてそんなことを、って思う。
「被害者」を見るたびに、どうかいつかその心が癒されるように、って思う。
でも、きっとどちらも、この世界で生み出されているものは
私の一部なのかもしれないなあって思う。
私が「被害者」であったのと同時に、
いつしか、社会というところにいる、どこかで傷ついている人を
見て見ぬふりをして、「加害者」を作り上げてきたのは、
私なのかもしれない。
そういった意味では、私も「加害」に加担してきたのかもしれない。
本当は、誰もがそうなのかもしれない。
違うかも知れないけれど。

じゃあ、どうやって、「社会」と「世界」と、
「人」と向き合っていけばよいのだろうか。
やっぱりこれっていう答えなんてない。
けれど、私は私のスタンスでしか、やっぱり接することしかできない。
誰かに押し付けることなく、礼節をわきまえて。
私の苦しみを人に押し付けることのないように。
私の痛みを、私以外の人が引き受けることのないように。
誰かの痛みを代わってあげることはできないけれど、
その痛みから、「自分を捨てない」ような
手助けをできますように。
「自分を愛せるように」それだけを、一人一人ができるように
そんな手助けだけをやれますように。

ひとついえることは、やっぱり
私は私の見た目でしか真実は語れないかもしれない。
だから、いつも自分で自分にごまかさずに生きていけるように。
私が大切だと思っていることを、やっぱりあきらめないように。
そうやってしか、生きていけないから。
by harmony0526 | 2005-02-08 12:38 | 相談事と書いて気晴らし

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‘声’をめぐるつれづれなるままのエッセイ(写真は私の愛する伊是名島からの風景)
by harmony0526
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