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言葉という名の小さな灯り

「言葉の持つ力」を本当に実感できるようになったのは、
身を引き裂かれるような別れを体験してから。

それまでいくら言われても、気がつかなかった。
私が発してた言葉のきつさや、ひどさを。
相手を傷つけてたこと。わかっていたけれど、止められなかった。
相手がぐさって傷ついているのに使ってしまった、出てしまった言葉。
意識して使ってるわけじゃないけれど、あ、今やってしまった、
きつい事言ってしまった、って事が、たくさん。
相手を傷つけながら、私も傷ついてた。
「気づいて欲しい」のシグナル。
「わかって欲しい」のシグナル。

誰だって、自分をほめてもらったり、優しくしてもらったら
すごくうれしい。言葉はたくさん力を持ってる。
でも、否定的な言葉を言うとき、とまらないとき、
その力の大きさを中々気がつかない。
相手を傷つけていること、そして発してる「自分」に帰ってきてること。
そして、そういった言葉によって、世界は作られていること。

もう誰も傷つけたくない、あんな思いはさせたくない、
したくない、と決めてから、私はすごく言葉に敏感になりました。
優しい言葉を口にしたとき、私から優しい気持ちが流れることにも
ようやく気がついた。
苦しいとき、辛いとき、どうしようもないとき、イライラするとき、
きつい言葉が私から吐かれる。
それも否定しないけれど。どうしようもないときってあるもの。
けれど、思いが否定的であっても、出てくる言葉によって
感情すら変化することもある。
少なくとも、聞いてる相手を不愉快にさせない、
同じ事でも視点を変えて、みることができる。
それが言葉のもつ力だと。そう思います。

私の身近にも、います。
なにかあると言葉が、きついことばが、感情に任せてでてきてしまう人。
妹がそうかな。情に厚く、人懐っこい妹ですが、コントロールできなくなると
ものすごい勢いで、言葉で、人を攻撃しようとする。
いや、攻撃というより、どうしてわかってくれないの?なんだろうな。
身を守ろうとして、攻撃しようとすることが良くわかるから、
今、怖れの中にいるんだろうな、それも辛いだろうなって思えるから
同じように攻撃しないですむけれど。
けれど、湧きあがってくる感情は、そうじゃない。
攻撃的な言葉を向けられたほうもやはり悲しい。
そう、自分以上に、誰かを悲しくさせる力を言葉は持ってる。

ひどい現実に、納得いかない世界に、社会に対して。
思うように行かない仕事に、人に。
いつも私を攻撃してくる人や、揚げ足を取ろうとする人に。
出てくる言葉は、決して肯定的な、優しい言葉なんて、ありえない。
それが正直な気持ちだけれど。

けれど、知ってる。
言葉は小さな灯り。
どんなに暗い闇でも、豆電球のような光をともせば、
少なくとも、その周囲は明るくなる。
「闇」が「光」に負けることはない。
小さな灯りをたくさんともせば、暗闇はすこしづつ光へと変わっていくだろう。
誰かの心に、私は灯りを灯したい。
誰より、自分の心に灯りを灯したい。
だから、今日こそ、この瞬間から、優しい言葉を、素敵な言葉を
人に、私に、世界に発することができますように。
ひどい現実に負けないような、苦しみに悲しみに
少しでも灯りを灯せるような言葉を使えますように。

「言葉という名の灯りを決して、凶器として使うことのないように」
by harmony0526 | 2005-01-31 16:54 | 聴くこと

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‘声’をめぐるつれづれなるままのエッセイ(写真は私の愛する伊是名島からの風景)
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